昼と夜に、分かれてしまった未来。
気鋭劇作家が自ら執筆した、小説版「太陽」!
21世紀の初め、ある未知のウイルスの爆発的な感染により、世界の人口は激減した。
感染を克服して生き残り、ウイルスのキャリアとなった新人類は、奇妙な体質に変異していた。細胞が太陽光に異常に弱く、活動できるのは夜のみ。一方で、頭脳は明晰に、肉体は強靱に変異していた。彼らは自分たちのことを「ノクス」と名づけた。
感染せずに生き残った旧人類は「キュリオ」(骨董品)と呼ばれ、貧しい生活を余儀なくされた。
人類は、二つに分かれて暮らすことになった。
ノクスは次第にキュリオを支配していき、やがて文明を担うようになるが、当然反発は強く、ある時、キュリオの住む村・長野八区で、キュリオの男がノクスの駐在員を惨殺する事件が起こる。結果、村はノクスによって経済封鎖されてしまった――。
そして10年後。
村に住む若者・奥寺鉄彦は村での生活に閉塞感を抱えながら、毎日を過ごしていた。幼馴染の生田結は、ノクスの存在を憎みながらも、村を立て直したいと前向きに暮らしていた。
そんなある日、突如、封鎖が解かれ、村にノクスが現れる。
羨望、絶望、希望。その先にある「未来」とは?
数々の演劇賞を受賞した傑作戯曲「太陽」、待望の小説化!
※本書は、2016年2月27日に配信を開始した単行本「太陽」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)