あらすじ北アルプスを登山中の一人の男が失踪した。消息を絶ったのは、八木光秀四十三歳。彼は二年前に資金不足から会社を倒産させ、また、新しい事業の計画にも行き詰まっていたため、自殺の可能性も考えられた。長野県豊科署の刑事・道原伝吉は遭難事件として捜索を開始するが、妻の晃子が光秀のノートに見つけたメモが、事件を思わぬ方向へ向かわせる……。遭難事件と身代金誘拐事件、上高地を舞台に謎が謎を呼ぶ二つの事件の真相は? 書き下ろし長編山岳推理。