巣鴨プリズンから生還し、政界に蘇った男の激闘――。
いまに連なる「昭和」に、何が起きたのか?
真の独立国家再建を目指した政治家・岸を通じて描く、渾身の歴史小説!
A級戦犯容疑で投獄されたものの、不起訴処分で巣鴨プリズンから釈放された岸信介。
大国のエゴとエゴがぶつかり合う戦後世界において、岸は文人政治家として、日米安全保障条約の改定や、自主憲法の制定、二大政党制の実現を目指して動き出す。
だがそこには、途方もない困難が立ちはだかる。
アメリカの野望。マスメディアの批判。自宅まで押し寄せるデモ隊。党内外の争い。そして弟・佐藤栄作のもとで勢力を伸ばす田中角栄――。
昭和六十二年、満九十歳でこの世を去るまで政治の表裏に関わり、「昭和の妖怪」と呼ばれた男の波乱の生涯!