一浪中のひとり息子剛の東大合格を目標に、生活のすべてを組みたてていた逢坂家の亀裂は広がっていった……。妻千鶴は、アルバイト先で再会した、亡弟の親友の私大助教授と、深い関係におちいる。母の変化に気づいた剛は、激しく動揺したが、東大合格を必死に目指した。九州に単身赴任した父は、学歴社会に揉まれながら、苛烈な流通戦争の渦中に身を置いていた。そして、ここでも幹部社員の不審な転落死に遭遇したのだった。二人の社員の死の背景は? 家族を巻きこむ受験地獄のなかで、人生の“遙かな坂”を歩む、父・母・子、それぞれの立場を描いた会心の社会派長編推理。