日本電気(NEC)はかつて、世界から高く評価される有望事業を複数展開していた。しかし、2000年代以降は競合に先を越される状況が続き、リーマンショック後には大規模な人員削減を行うなど、厳しい経営状態が続いた。その後、長期にわたる変革が結実し、2019年度から2年連続で最高益を更新。日本を代表するグローバル企業として、再び存在感を示し始めている。現在社長兼CEOを務める森田隆之氏は、NEC再建の中心的役割を担った人物である。NECの存在意義から問い直す中で、創業以来培ってきた技術力が自分たちの武器であると確認できた一方、それを価値に転換できていないことが根本的な課題であったと森田氏は指摘する。NECはなぜ苦境に陥り、どのように抜け出したのか、そして、これから世界の競合と渡り合っていくために何が必要なのかについて、森田氏に語ってもらった。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年4月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。