37年間にわたり、ひきこもりの子どもたちと関わってきた精神科医・水野昭夫。彼の活動記録とひきこもりの青少年及びその家族の再生物語。
家族療法は、精神科領域ではよく知られた療法であるが、水野先生は、それを往診して行なっている。ひきこもりを抱える家族は、子どもを何とかして部屋から出して、病院に連れて行きたいと思うのだが、それが大変難しい。強制的に行なえば、親子関係に大きな禍根を残す。だからこそ、医者が自ら出向く「往診」が必要なのだ。
「いつまでもひきこもっていたら、心も体も弱っていく」と水野先生は言う。500人の子どもを外に出し、家族を再生させた水野先生の往診記録を紹介する。
目次
はじめに
第一章 「ひきこもり」という言葉の変遷
第二章 家族問題にこだわる精神科医の誕生
第三章 ひきこもり救出作戦――往診家族療法とは何か
第四章 「ひきこもり」問題を読み解く~水野へのインタビュー~
第五章 入院治療の新しいカタチ
第六章 治るとは――就労することの意義
取材を終えて
あとがきに代えて――筆者と水野さんとの関係