蝦夷の各地に、たったひとりで風のように現われて弱きを助け、風のように去ってゆく男。腰にさした日月螺鈿の短刀は、正義のためにのみ振るわれる……。アイヌの人たちが噂する男、それが、忍者次郎であった。だが、一方次郎は、育ての母と姉を殺された復讐心に燃えながら、剣に仕込まれた謎を追うべく運命づけられていた。そしてその謎とは、あの大海賊キャプテン・キッドの財宝の所在なのであった! 激動の歴史を背景に、カムチャツカ半島を経てベーリング海峡を越えアメリカ本土まで――。息もつかせぬ怒濤のエンターテインメント・ノベル!