「そういえば初めて『あの人』と出会ったのも、あの交差点だったかしら」 食蜂操祈が初めて上条当麻と遭遇したのは、数多の魔道書を司る白いシスターが魔術の世界から逃げ出し空から振ってくる、ずっと前のことだった。 今でも、食蜂操祈は覚えている。ツンツン頭の少年との想い出を。 はじめは、新手のナンパかと思った。 ある時は、水着を見られた。 ある時は、バッグで頭をぶん殴った。 ある時は、間接キスを経験させられた。 そして、最後に――。 命を救われた。 それは、彼女の人生の中でも、一、二を争う『幸せな時代』。精神系最強の能力者『心理掌握(メンタルアウト)』の、大切な『記憶』だった。 食蜂操祈の過去を紐解く物語が、今始まる。