ジャズピアニストとして、現在はNYに住む大江千里。2000年の初めの頃、築50年の日本家屋に住んだことがきっかけで、「家」フェチ全開で書いた『僕の家』中から2編を収録。デビューまもない大江千里の自由が丘ストーリー&血も凍るゴーストストーリーの二本立て! 不動産知識も随所にちりばめられた傑作エッセイ。【読了時間 約40分】
初めての自分の部屋の鍵がポケットにある感覚というのを今でも忘れない。キオスクでガムをひとつ買い、自分が激しく行き交う駅の人波に気後れしてないか自己チェックした。――「はじめての一人暮らし」より
そこには人の気配がある。何度か眠ろうとしたけれど重いし体が動かない。かっと目を開ける。するとそこには! ――「『おばけ』の出る家」より
大江千里・おおえせんり■1960年9月6日大阪生まれ。1983年デビュー。2008年、ジャズピアニストを目指し相棒(ダックスフント♀)を連れてNYの音楽大学へ留学。ジャズアルバム『boys mature slow』『Spooky Hotel』をリリース。東京ジャズフェスティバルには2年連続出演。現在は米国内で積極的なライブ活動を展開中。NYジャズ留学の前半を綴った「9th Note」シリーズ、後半を綴った「13th Note」シリーズ、「僕の家」シリーズを電子書籍で配信中。