東京は夜の6時。
「大江千里 サタデーナイト・オーケストラ in 東京ジャズフェスティバル」が
始まろうとしている。緊張が悪魔のように押し寄せてくる。
面白くないジョークを言うもの、それに爆笑するもの、鏡を何度も覗きこむもの、楽器を磨くもの。
「さあ、みんな緊張してますよ。これは楽しく記念撮影しといたほうがいいでしょう」
シャーリー(日本男子)がみんなに呼びかける。
シャリーは25年来の友人。持つべきものは友だ。
開演30秒前、誰からともなく集まって手を重ねた。
Let's enjoy the moment!
僕らは前を向いて舞台へ出て行った。
東京ジャズの舞台裏を大江千里自らレポートするスペシャルバージョン。
永遠の歌姫、シーラ・ジョーダンのお茶目な一面も! 【読了時間 約15分】
大江千里・おおえせんり■1960年9月6日大阪生まれ。1983年デビュー。2008年、ジャズピアニストを目指し相棒(ダックスフント♀)を連れてNYの音楽大学へ留学。ジャズアルバム『boys mature slow』『Spooky Hotel』をリリース。東京ジャズフェスティバルには2年連続出演。現在は米国内で積極的なライブ活動を展開中。NYジャズ留学の前半を綴った「9th Note」シリーズ、後半を綴った「13 th Note」シリーズ、「僕の家」シリーズを電子書籍で配信中。