このクラスに、ジャズができていない人がいます。――僕だ。
アンサンブルのクラスで、僕ひとりがジャズじゃなかった。コードの重ね方が違う。
縮こまる僕に声をかけてくれたのは、タイから来たドラマー、テップ。
一緒に練習したチャーリー・パーカーの「ビリー・バウンズ」は少しだけ勇気をくれた。
「格好悪いふられ方」「Rain」(アニメ『言の葉の庭』エンディング)「十人十色」などで知られるポップミュージシャン大江千里。
50歳直前で、今までの一切合財を捨てNYへジャズ留学する。
武者修行中の第3弾でもまた困難が……。
登場曲は、フランク・シナトラ「君を想いながら」、ウェイン・ショーター「ブラック・ナイル」「ナイト・ドリーマー」、ソニー・ロリンズ「セイント・トーマス」ほか、スタンダードナンバーがたくさん。しかし、NYジャズ武者修行の道は想像以上に険しかった。【読了時間 約22分】
大江千里・おおえせんり■1960年9月6日大阪生まれ。1983年デビュー。2008年、ジャズピアニストを目指し相棒(ダックスフント♀)を連れてNYの音楽大学へ留学。ジャズアルバム『boys mature slow』『Spooky Hotel』をリリース。東京ジャズフェスティバルには2年連続出演。現在は米国内で積極的なライブ活動を展開中。NYジャズ留学の前半を綴った「9th Note」シリーズ、後半を綴った「13 th Note」シリーズ、「僕の家」シリーズを電子書籍で配信中。