結婚式の始まる寸前、突然姿を消してしまったアルタ・リコきっての美女ヒジ。人々は、ヒジが女神ムーに召され昇天したのだと信じていた。だが、彼女を秘かに恋するコバだけは疑問を抱き、ヒジ探索の旅に出た。ついにコバは、深い森の中、エンギルの湖のそばで幽閉されているヒジを発見した。聖双生児の一人カタ・セムによって連れてこられ、子を生んだ後閉じ込められているというのだ。「ヒジはアムの犠牲にされた……」。コバとヒジの必死の逃亡が開始されたその時、大異変が起こった。森の中に二本の鋭い牙を持つ剣歯虎(ギスハカペラ)が現われ、山は火を噴き、湖からは巨大な首長龍(ナーガアギス)が出現したのだ。しかも地底から、人と呼ぶべきか獣と呼ぶべきか、尾を持った禍々しき“有尾人(バルバル)”さえはいだしてきた