あらすじ天文12年、長尾晴景の家老昭田常陸介は晴景に反旗をひるがえし、14歳の景虎は春日山城での防戦に初陣を飾った。そして、城を脱出して身を寄せた宇佐美定行の許で、その娘乃美を知った。 翌年、景虎は甲州御坂峠で、狩装束で馬をうたせる若武者を見かけた。24歳の武田晴信、のちの信玄だった。 三条勢らとの戦いに連勝する景虎は、毘沙門天を熱烈に信仰、女を近づけず、律僧のような日々を送るが、兄晴景は、その名声の高まりに不快の思いを強めてゆく。 カバーイラスト/熊谷博人