あらすじ長尾晴景が府中で病死した。その葬儀を済ませた景虎に、信州からもどった諜者が、武田晴信の北信進攻を知らせた。そして8月、景虎は軍を川中島に出動させたが、晴信の攻撃でさんざんに撃破された。戦さを始めて初の不覚だった。両軍の対決がくり返されるうち、京の将軍足利義輝の密使が景虎に至急の上洛を告げて来た。三好好慶、松永久秀の専横に将軍の権威が失墜、政情不穏の気配だったのだ。景虎は、晴信に和睦を固める使者を差し向け、越後路を京に向けて出発した。 カバーイラスト/熊谷博人