あらすじ室伏雄一郎は、両親の故郷、南紀州尾鷲の素封家中里の次女有里と結婚した。雄一郎は小樽から釧路へ転勤し、妹の千枝は釜たきの岡本良平と結婚。横浜の姉はると伊藤栄吉の仲はなかなか進展しなかったが、雄一郎に長男秀夫が誕生し、千枝にも七か月遅れて長女雪子が生まれた。昭和六年満州事変、翌年早々には上海事変が起こり、平穏な北海道の日々も、時代の暗雲の中に包み込まれていった。