たった一度だけ腕に抱いたわが子の面影は、18年経っても消えなかった。
ヴィクトリアにはどうしても会いたい少女がいた。16歳で妊娠し、養子に出さざるをえなかった実の娘だ。出産後、養子斡旋業者に託す前に一度だけ腕に抱いたのが最後だった。その切なく悲しかった瞬間とともにいつも思い出されるのは、娘の父親で高校時代の恋人だったライアンのこと。出産の日が来たら、私たちの子を一緒に迎え、一緒に送り出そうと約束してあったのに、彼は電話にも出ず、ついぞ姿を現さなかった……。今、ヴィクトリアは18歳になった娘とどうにか再会を果たし、胸がはち切れそうなほどの感謝と感激に包まれていた。しかし、娘が実の父親にも会いたいと言いだし――
■最も大切な約束を破られ、途方に暮れた16歳のヒロインは町を出て、その後一度もヒーローと顔を合わせることはありませんでした。そんな彼と再会するのは、過去の傷をもう一度なぞるに等しくとても勇気が必要で……。すれ違った恋人たちと娘の再会を描いた感動作!