子どもの虐待の影響は深刻であり、認知件数は年々増え続けているが、子どもの虐待は要因が多岐にわたり、重篤な症状も出るため、子どもや親に対しては適切なアセスメントが必須となる。その後のケアについても、慎重なアセスメントに基づき必要となるケアを受けることが求められる。本書では、子どもの虐待に携わる臨床心理士やソーシャルワーカーが、それぞれの専門職の視点からアセスメントとケアについて論じている。心理職、福祉職の協働は現場で多く見られるものの、両者の視点が一冊の本にまとまった例は類を見ない。筆者は心理職、福祉職として現場で活躍するエキスパートであり、児童養護施設入所後の子どもの心理療法や、ライフストーリーワーク、親子関係再構築といったケアの具体例など、現場での臨床の知がふんだんに盛り込まれている。医療・福祉・教育などのさまざまな領域で児童虐待に関わる方々のために、活用上のヒントに満ちた内容となっている。