今や本格的な音楽は映画音楽だ。映画音楽だけが現在のあらゆる音楽を含んでいる。 ――エンニオ・モリコーネ 「映画が恋した音楽家」が、盟友でもある巨匠トルナトーレ監督(『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の家のピアニスト』)を聞き手に迎え、人々の記憶に残る“モリコーネ・サウンド”の創作秘話を自ら語り尽くした決定版。 クエンティン・タランティーノ監督(『ヘイトフル・エイト』)から、ブルース・スプリングスティーンにいたるにまで、ジャンルを超え敬愛されるエンニオ・モリコーネ。 2022年11月には、東京国際フォーラムでのトリビュート公演『オフィシャル・コンサート・セレブレーション』が開催、そして、2023年1月にはトルナトーレが監督を務め、<最後のタッグ>を組んだ映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』の公開が予定されるなど、2020年の死去後も絶大な人気を誇る。 「マエストロ」の異名でも知られる映画音楽の大家は、セルジオ・レオーネ(『荒野の用心棒』)、ローランド・ジョフィ(『ミッション』)、ブライアン・デ・パルマ(『アンタッチャブル』)など、数多くの名監督たちによる傑作を彩った旋律をいかにして生み出したのか? 映画音楽と純音楽、メロディーとアレンジ、飽くなき実験、監督と作曲家のあるべき関係… 半世紀以上にわたって名作を支えた映画音楽の巨匠が語る映画音楽論。 幻のモリコーネ版『天地創造』『時計じかけのオレンジ』、そして『エンドレス・ラブ』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』をつなぐ知られざるエピソードなど、名作にまつわる裏話も織り交ぜながら、その創作術とテクニックを「マエストロ」自身が明らかに。 <目次> 第1章 霊感などありえません――より少ない音のために 第2章 貴方はキャリアを築けません――アレンジャーの戦い 第3章 作曲家の弱点――わが青春のペトラッシ 第4章 トランペットと威厳――金管のエクスタシー/即興のプロ部隊 第5章 母の名前のように――対決:映画音楽と純音楽 第6章 ひと握りの西部劇――レオーネの追憶 第7章 音楽の死――沈黙の監督 第8章 失われたオレンジ――影の暗躍者/レオーネの陰謀 第9章 脳内音楽――音楽が静かにやって来る 第10章 隠された愛のテーマ――アンドレア/果てしなき成長 第11章 エンニオ革命――聴衆にそっと寄り添って 第12章 100歳で引退――現役のままでいて 訳者あとがき 索引