夜毎の乱痴気騒ぎ。朝の4時までキス。ラム酒に1滴の生き血。悩ましく歌うシャンソン。裏通りのカヴァレット。路上の闇に咲く仇花達。1925年、ドイツのベルリンは退廃的な狂乱に満ちていた。4年間の留学を終え日本に帰国する事になった遥彦は友人のハインリッヒにパーティーに連れて来られた。そこは女人禁制の男性だけのパーティーだった。その2人連れは、この奇妙な場でも一際目を引いた。金髪碧眼のいかにもアーリア人と言った顔立ちの青年と、何が気に入らないのか神経質そうに眉をひそめている小柄な少年。そしてその不快げな表情が彼の孤高な美しさをより一層際立たせていた。それが運命の出会いだとは遥彦も少年も知るすべもなかった…!?