交渉術に関するマネジャーのバイブルは、長らく1981年初版の『ハーバード流交渉術』であったが、同書では利得をどう分け合うか、という問題について未解決だった。筆者らは、「交渉の当事者たちが合意によって新たに得た価値(パイ)については対等な請求権を持ち、これらは均等に分け合うべき」という一つの重要な原則を土台として、新たな交渉のフレームワークについて論じている。この非常に公平なパイ手法は、これまで恩恵を受けてきた人々からの反発が予想されるが、交渉の当事者は可能な限り大きなパイを生み出すことに専念できるというメリットがある。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年3月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。