ああ、なんてこと。この人がケイド・アンドレアスだなんて。小さな町のダイナーでようやく会えたその男性を、スザンヌは見つめた。大柄で粗削りだけれど、男らしくて、とびきりセクシーだ。でも、惹かれてはならない。彼には話すべきことがあるのだから。今の窮状を訴えて、なんとかしてもらわないと――。祖母から相続したケイドたちの会社の株を買い取ってもらうのだ。スザンヌの人生は祖母の死後、何もかもが変わってしまった。祖母が投資で失敗し、ひとり取り残された彼女は、家も財産も失い、おまけに生後6カ月の娘まで抱えている。株を買い取ってもらえないのなら、せめて会社で働かせてほしい。不審げに見返す彼に、スザンヌは話を切り出すきっかけを必死で探した。■家族の愛を知らずに育った富豪三兄弟、ダリウスとニックとケイド。今月は3部作の最後を飾る、ケイドとスザンヌの恋をお届けします。教会でアンドレアス家の全員が祝う結婚式にどうぞご出席ください。