ケリーは雑誌で偶然目にした写真を見て、息がとまりそうになった。ジョー・タナーという男性の写真だった。それは25年前、政変で殺害されたとされる、アンブリアの王家の人々にそっくりだった。やはり王家の子供たちのうち何人かは生き延びていたのだ……。通信社に勤めるケリーにとって、彼の住所を調べるのは簡単だった。ケリーは休暇を取って、ジョーが住むカリフォルニアへと向かった。できるだけ接近して、彼のことがもっと詳しく知りたくて。でも近づきすぎて気づかれてしまった。彼を見失ったと思ったとたん、ケリーは、たくましい男性の腕で地面に押さえつけられていた。「君は誰なんだ? 答えるまで、ずっとこうしていてもいいんだぞ」■国を追われたプリンスたちが、王国を取り戻すために立ちあがる、ロイヤルロマンス3部作〈夢の国アンブリア〉。最終話となる次回は、祖国の王宮に潜入した、皇太子モンテの恋物語をお贈りします。