物心ついた頃から、レイチェルはマットに恋をしていた。富豪の御曹司と、その家政婦の娘ではつり合わない――頭ではわかっていても、どうしても一人の女として見てほしかった。そんな折、高校の卒業舞踏会で彼にエスコートをしてもらうことになり、レイチェルはセクシーなドレスをまとって大胆に振る舞う。念願叶って、舞踏会のあとにマットと愛を交わすが、彼はすぐさま後悔し、一夜の過ちだと片づけてしまった。あれから十一年がたち、今、レイチェルはマットの屋敷で働いている。妻を亡くしたマットに代わり、彼の子供の面倒を見ているのだ。今も変わらぬ恋心を、マットに気づかれないようにしながら……。◆〈疑惑のジュエリー〉もついに最終話。期待の新人作家が次々に筆を執ってきましたが、最後は日本デビュー作となるイヴォンヌ・リンゼイが登場です。ラストを飾るにふさわしい一作です。◆