何が「働くノン・エリート」を駆り立てたのか?
明治・大正期、旧制高校を出て帝国大学に入るようなエリートになれなかった多くの人々は、どうやって「立身出世」すべきか分からなかった。昭和期、サラリーマンになることで身を立てる人が増えたが、何を拠りどころにして働けばいいかが分からない。会社で「研修」に励んだ彼らは、平成以降の低成長期に入ると、派手な成功を望みづらいなかで、自己啓発やビジネス書の消費者となっていった 。近代日本の歴史の根底には、「働くノン・エリート」の「自己向上」への意欲が、常に「宗教っぽいもの」をまといながら、水脈となって流れていたのだ。明治から現代まで連綿と続く営為の系譜をたどり、“日本資本主義の精神”の展開史を描き出す!
序章 「自分磨き」の志向
第一章 語られた修養 伝統宗教と〈宗教っぽい〉もの
第二章 Self-Helpの波紋 立身出世と成功の夢
第三章 働く青年と処世術 新渡戸稲造と『実業之日本』
第四章 「経営の神様」と宗教 松下幸之助の実践
第五章 修養する企業集団 ダスキンの向上心
終章 修養の系譜と近代日本 集団の中で自分を磨く
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