誰もが、性的マイノリティである
「男/女」と単純に分類しがちな我々の性は、とても繊細で個別的だ。
だが今性を語る言葉は、あまりに人を対立させ、膠着させるものに満ちている。
巷間言われる「LGBTQをはじめとする性的マイノリティの多様性を認めよう」ではなく、
「そもそも性的マジョリティなど存在しない」という立場から
セクシュアリティとジェンダーをめぐる言説をあらためて見直すと、この社会の本当の生きづらさの姿が見えてくる――。
草食男子、#Metoo、セクハラやDVから、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒット、さらには戦後日本と父性の関係まで。
『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』などの評論で、この国の語り得ないものを言葉にしてきた作家が、
具体的なトピックから内なる常識に揺さぶりをかけ、いまだ誰も語り得ない言葉で新たな性愛の地平を開く、全霊の論考。