時代を超えて、闇は残る
「社会派推理小説」というジャンルを確立した国民的作家・松本清張。格差、差別といったタブーを恐れずテーマとして取り上げる姿勢、地方から中央を相対化する視線により、その作品には昭和という時代の闇が刻印されている。代表作の数々を「鉄道」と「天皇」に注目して読み解き、歴史の暗部に光をあてる。
第一章 格差社会の正体──『点と線』
第二章 高度経済成長の陰に──『砂の器』
第三章 占領期の謎に挑む──『日本の黒い霧』
第四章 青年将校はなぜ暴走したか──『昭和史発掘』
第五章 見えざる宮中の闇──『神々の乱心』
終 章 「平成史」は発掘されるか