いのちと味覚は切っても切り離せないもの。環境汚染によって安心・安全な食材が姿を消し、簡便な「レシピ」の氾濫で、食の本質が失われつつある今、「より良く生きる」にはどうしたらよいのか。その心得を、「畏れ」「感応力」「直感力」「いざのときを迎え撃つ」「優しさ」の五つの指標から説く。著者初の新書エッセイ。
序 章 九十二歳のいま、これだけはお伝えしたいこと
第一章 「畏れ」を持つこと─風土の慈しみ、旬を味わうための心得
第二章 「感応力」を磨くこと─“手のうちの自然”に五感を集中してみる
第三章 「直感力」を養うこと─風が示してくれた、おいしい生ハムのつくり方
第四章 「いざのとき」を迎え撃つこと─牛すじやアラを食すのは、いのちの根底を固めること
第五章 「優しさ」を育てること─スープの湯気の向こうに見えてきたこと