地球随一の天才物理学者である気の強い姉に、なにかにつけて振りまわされるぼく。大学四年生になる夏に日本でおこなわれた「あの実験」から三年、ぼくはまたしても姉に呼び出された。向かった先は宇宙空間――ラグランジュポイントL2に浮かぶ国際研究施設だ。姉はそこで誰にも知られることなく、宇宙論に関するある途轍もない実験を準備していた。第5回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる全三話。瀬名秀明が「日本SFの歴史を次の五十年に受け渡す傑作」と激賞した、新時代の理論派ハードSF。/解説=堺三保*本電子書籍は、『ランドスケープと夏の定理』(創元日本SF叢書 2018年8月初版発行)を電子書籍化したものです。