北関東のとある町にある、外国人向けアパート「ランタン楼」。無職の青年・瑞輝は祖母の入院により、彼女が経営するランタン楼の大家となる。瑞輝は昔から入居者のトラブルが絶えないアパートの歴史に怯えつつ、しぶしぶ大家業をこなしていく。住人を訪れた客の失踪、倉庫として貸していた部屋の泥棒騒ぎと、住人たちの問題と対峙し、彼らの窮状を解決するために奮闘する瑞輝にも、やがて大きな変化が訪れる――。ランタンが灯る古い洋館風のアパートを舞台に、異国の地で懸命に生きる人々との交流と瑞輝の成長を、優しく綴った連作短編集。