独自の捜査方針を貫く切れ者ロヤコーノ警部は、ピッツォファルコーネ署への異動を命じられる。そこはナポリでもっとも治安の悪い地区にある分署で、捜査班の大半が汚職で逮捕されたため、早急に人員を補充する必要があった。ロヤコーノのほかに送り込まれたのは、暴力沙汰を起こした男性刑事、署内で発砲した女性刑事、スピード狂の巡査と、いずれも能力はあるが各分署が持て余した者たち。彼らは着任早々、スノードーム蒐集が趣味の女性資産家殺しをはじめ、いくつもの事件に直面する。イタリア発の警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズ始動。/解説=吉野仁