職人になるべく修業に励んでいるはずの養い子ハップは、女の子にうつつをぬかし、フィッツの忠告も耳にはいらぬ様子。王子との信頼関係は綱渡り状態。〈技〉をもつもうひとりの生徒もなかなか心をひらかない。思うにまかせぬ若者たちに、おのれのふがいなさを噛みしめるフィッツ。一方、いったんは鳴りを潜めていたパイボルドの一党もふたたび蠢きはじめていた。今度の狙いは王子だけでなく、〈気〉をもちながら、古き血族の敵ファーシーアに忠誠を尽くすフィッツと、そのあるじゴールデン卿。フィッツは王子を、そして六公国の平和を守れるのか?/解説=井上知