発刊にあたって
プロジェクトは非定常業務である。ルーティン作業として毎日繰り返される日常業務と異なり、基本的には、常に気の抜けない作業に挑戦して行かなくてはならない。ところで、プロジェクトは有期性という属性をもつ。はじめがあるが、おわりも必ずある、そのような有期のものである。さらに、個々のプロジェクトはすべて異なるという、個別性という属性ももつ。類似のプロジェクトは過去に存在していても、全く同じプロジェクトはない。さらに、プロジェクトの語源は未来への投影である。その名前の由来の通りプロジェクトは未来に向かって挑んでゆく業務であるために、何が起こるかわからないという不確実性を持ち備えている。この有期性、個別性、不確実性は、プロジェクトの3属性だ。このような属性を持つプロジェクトを成功に導くためには、過去の経験に学ぶことが重要だと言われている。いわゆる、Lessons-Learnedに記載された経験者の体験記録が参考になり、時としてその中には貴重な宝の山がある。
本書のきっかけは経済産業省からのアジアを対象としたプロジェクトに関する英文エッセイ投稿のお誘いであった。このような投稿記録を残せる機会は、日本プロジェクトマネジメント協会にとっても貴重である。その白羽の矢を渡部寿春氏に当てたのも縁だとおもう。当協会の発足以来、地域ごとのP2M研究部会があり、渡部寿春氏はその中の東京P2M研究部会の2代目部会長になった。当協会の会員の中でもユニークな仕事に就かれているうえに、人の思い付きにくい発想をされる。英語も日常的に使われている。適任であったことは、本書を読んでいただければわかるとおもいます。
こうして英文が先行し、日本語をあとつけした日英文のプロジェクト日記ができることになった次第です。100編のエッセイは、きっと読者の思考を刺激するでしょう。それがあらたな発想のヒントになれば幸いです。
最後に、本書の発刊のきっかけをつくっていただいた関係者のすべての方に感謝いたします。そして、何より本書を完成させた著者に感謝いたします。
特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会
理事長 光藤昭男
2019年6月吉日
発刊にあたって
まえがき
読み方
もくじ
Chapter 1 PMの基本
Chapter 2 修羅場
Chapter 3 プロマネの仕事
Chapter 4 日本のPM
Chapter 5 今時の知恵
参考文献
NIN2 P2Mについて
PMAJについて
P2Mについて
著者紹介