舞台は、人間と神と妖怪が共に暮らす島。
日本児童文学者協会賞受賞の大人気YA作家による、自分らしい生き方を探す物語。クライマックス最終巻!
かっこよくて頼りがいのある大天狗、ため息が大好きな置物のたぬき、先読みができる姫、寄り添い支えてくれる黒ずくめの男など、ときめく人物が多数登場し、ストーリーを鮮やかに彩る、爽やかなファンタジー!
淡島三津は、心の中に二つの死角を持ち、生きづらさを抱えた高校生。
父の海外赴任に伴い、温泉宿を経営する大叔母の元に引き取られたその日から、神と妖怪も混在する不思議な島で暮らすことになった。妖怪と人間社会の秩序を守るため、当主の血を引く三津には、妖怪以外の相手と初恋を成就させなければならないという黙約が課せられていたのだ。6年前島を訪れた際、無自覚に初恋をしてしまったらしいのだが、三津は、相手をまったく覚えていなかった。さらに知らされたところによると、母親はこの黙約によって苦しんだ末に出奔してしまったし、父も本当の父親ではなかった。
大叔母は当時の反省から、三津の島での記憶をすべて消し去り存在をなかったものとして、黙約から解き放とうとするが、三津は周囲の反対を押し切り、初恋を捨てて、死角を手放さずに島に残ることを選ぶ。
新たに島の高校へ通うことになった三津だが、玄関の扉を開けると、動物の死骸が置いてあって……。
著者紹介
石川宏千花
『ユリエルとグレン』で第48回講談社児童文学新人賞佳作、日本児童文学者協会新人賞受賞。おもな作品に「お面屋たまよし」シリーズ、「死神うどんカフェ1号店」シリーズ、『メイド イン 十四歳』(以上、講談社)、『墓守りのレオ』(小学館)など。「少年Nの長い長い旅」(YA! ENTERTAINMENT)と「少年Nのいない世界」(講談社タイガ)両シリーズを同時刊行して話題となった。『拝啓 パンクスノットデッドさま』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞を受賞。