季節は初夏、キントハイトへの遊学から帰国したニナとリヒトが結婚して三カ月。ようやく生活が落ち着いてきた中、ニナは、国家連合の監視下にあるメルからの手紙が遅れていることが心配だった。彼女の罪を軽くすべく探している<先生>こと「黒髪の男」も見つからない。そんな中、リーリエ国にとっては因縁の相手である、南方地域のルハラ国との親善競技が組まれる。ルハラ国はかつて裁定競技会で勝つために、当時の破石王にしてリーリエ国騎士団副団長レシオンの妻子を殺害したのだ。結局はリーリエ国の勝利に終わるも、レシオンは国を出奔してしまった。複雑な思いを抱えつつ、リーリエ国騎士団は親善競技をこなすことに。一方、留守番をしていたニナは武具の調整記録から、元副団長レシオンと「黒髪の男」の特徴が一致することに気づく。さらに元副団長レシオンは、ニナが昨年の親善杯の際に森で出会い、道案内をしてくれた男とそっくりだった。従軍中のリーリエ国騎士団にそのことを報せに行く途中、とある宿場町で、ニナは「黒髪の男」と偶然に会う。ふたりの泊まる宿が賊に襲われた際、我を失った「黒髪の男」が殺戮の限りを尽くそうとするのを、ニナは亡くなった娘のふりで止めた。彼がニナを亡くなった娘だと思い込んだため、ニナは彼とともに宿場町から逃げることになり…?