帰省するのはいつぶりだろう。大学進学を機に上京して十四年、忙しさにかまけて実家から足が遠のいていた私は、新幹線で金沢に向かっていた。まもなく旅立つであろうミャアを見送るために(「ミャアの通り道」)。離婚以来、自暴自棄の生活を送っていた女性の家のベランダに現れた茶トラが、生活を思わぬ方向へ変えてゆき……(「運河沿いの使わしめ」)――肉親を亡くした時、家庭のある男を愛した時、離婚して傷ついた時…… ふり返れば、いつもかたわらに猫がいた。人生の様々な場面で猫に救われてきた女性たちの心洗われる七つの物語。「犬を亡くした私を救ってくれたのは猫でした」――著者インタビューも収録!