大反響を呼んだNHKスペシャル『ばっちゃん ~子どもたちの立ち直る居場所~』、待望の書籍化。
■内容
広島市・基町の「ばっちゃん」こと中本忠子さん(現在83歳)。元保護司。
保護司とは、保護観察官とともに、非行に走った子どもたちの生活指導や更生の手助けをするボランティアだが、中本さんは、万引きやカツアゲ、暴走行為など、非行に走る子どもたちの中に、満足に食事をしていない子どもが多いことに気づく。
「シンナーを吸っている間だけお腹が空いていることを忘れられる」
ある一人の少年の言葉をきっかけに、中本さんは無償で子どもたちに手料理を振る舞うようになった。1日3升の米を炊き、ご飯を食べていない友だちや両親の分まで弁当を持たせる。
365日24時間、30年以上にわたって自宅を開放し、子どもたちを受け止め続けた。
大人を信じない子どもたちが、中本さんにだけは心をひらき、「ばっちゃん」と呼び慕う。
更生した子どもは30年で200人以上になる。
なぜ中本さんは、これほど大変なことを続けてこられたのか。
「子どもの顔を見よったらね、せんにゃおれんようになる」
ばっちゃんの活動を8年間にわたって追い続けたNHKディレクターが、子どもたちの置かれた状況や非行に走る背景、子どもたちがやっとの思いで発した言葉やばっちゃんの行動を参考にしながら、「子どもたちの居場所」について考える。