手塚治虫への愛と蘊蓄が溢れる長編エッセイ。
漫画の神様・手塚治虫の足跡を追ううちに長じてミステリ作家となった著者が、溢れ出る手塚への愛と造詣を綴った長編エッセイシリーズ、文庫化第3弾! 編集魔として知られる手塚の描き換えの変遷、コミックス刊行に際してカットされたシーンを“ムシの眼”で追いながら、作品に秘められた人間・手塚治虫の息づかいまでをクローズ・アップ。名作群の読み方が一変する、比類なき探究記です。
少年期からの手塚体験を、最近の研究成果を交えつつ編年ごとに描いていくこのシリーズ、今回は青年劇画の氾濫により低迷を余儀なくされた手塚治虫が、『ブラック・ジャック』『三つ目がとおる』で不死鳥のように少年漫画誌に復活。『ブッダ』『奇子』で青年向け作品でも脚光を浴びる時期を、活写しています。
当初は連載数回で終了するはずだった『ブラック・ジャック』の謎、連載時と単行本で結末がまったく異なる『奇子』など、興味深いエピソード満載です。
今回も描き替えられたりカットされたりした貴重な全集未収録場面を惜しげもなく掲載。カラー口絵と共にお楽しみください。