ある日、上総に見合い話が舞い込んだ。当然、木島組に関係する筋からの紹介だ。才色兼備で女性として申し分のない相手だが、彼女には父親がかつて裏社会の人間であった、という消しがたい瑕疵がある。それで、自分のような男と見合いをさせられるのか……と同情する一方で、上総自身もこの縁談を受けるに当たって、ある人物に対して無意識の罪悪感のようなものがあった。それは上総がまだカタギの――いや、ずっと年若い頃からよく知る、谷崎というたったひとりの男に対してだ。
木島組の参謀にして久遠の右腕、切れ者の誉れ高い上総の、これまでベールに包まれていた、ごくプライベートな物語がついに登場!
文庫『VIP はつ恋』の時間軸から、少しだけあとの話。
本編と併せて読むと深読みの楽しみが倍増する――4ヶ月連続短編、第2弾!!
沖麻実也氏描き下ろしイラストつき。