これは、あるメーカーで実際にあった話です。
企画書をつくり、上司、さらには社内的な承認をもらい、プロジェクトを進める場面を思い浮かべてください。
ここで、2人のビジネスパーソンを比べてみます。
Aさんは、企画センスもあり見た目もバツグンな書類をつくりました。さらには、プレゼン上手で説得力もある。
一方のBさんは、人並みの企画内容で、書類の見た目もパッとしません。それに、話し方も普通。
しかし……!
Aさんの企画はボツになり、Bさんの企画は上司の承認を得て、その後、社内の承認を得て実行され、成果をあげることができました。
企画が通る、通らないという分かれ目は、内容以外のところにあったわけです。
企画を通したBさんがやったことは、特別なことではありません。
企画書をつくる前に上司にひと言相談をした、ということだけ。ただし、その言い方にちょっとしたコツがありました(コツの中身は本書に記載があります)。
企画を通せなかったAさんは、特にそういうことはせず、ひたすら企画書のブラッシュアップをしました。その結果、企画書としては優れたものができたのに、実現せずに終わってしまいました。
あなたにも、そういう経験はありませんか。
もし、そういうことがあったとしたら、あなたはせっかく持っている能力を活かしきれていないのだと思います。
研修講師として3万人のビジネスパーソンを見てきて思うのは、知識、スキル、頭のよさよりも、「自身の力をどう使い、周囲との関係でどう活かせるか」のほうが、仕事の成果に直結するということ。
この、持っている力の活かし方と周囲の人との絡み方こそが「仕事をスムーズに動かすコツ」で、本書はそれを紹介するものです。
ビジネスをスムーズに進め、成果をあげていくためには、ビジネススキル以前に仕事のコツを身につける必要があります。そして、そのコツにはすべて人が絡んでいます。
本書では、ビジネススキルを活かすための仕事のコツを5つあげ、なぜそれが必要か、どういう場面で使えばよいか、どうすればより効果的かを解説します。