あるママのお話に、とても感動したことがありました。17時にはいつもキッチンに立って夕飯の支度をする彼女が、その日はクタクタで家に帰って、キッチンのドアを開けたそう。すると、卵焼きの焼けるい~い匂いが鼻をくすぐりました。「ママ、たまには休んでいーよ」って、おかずを1品作って待っていてくれたのは、小学5年生の息子さん。「世界一おいしい卵焼きでした!」と彼女。「親の背を見て子は育つ」ということわざがあるけれど、実のところ、「子どもたちは、キッチンに立つママを見ながら心を育てているんじゃないかしら」と思うのはこんなとき。近ごろはキッチンがわが家の真ん中にある家が多いから、お母さんが台所に立つ姿を家族はいつも目にしています。使いづらいキッチンにイライラしている姿も逆に、可愛いキッチンに満足しながらルンルン片づけている姿だって。頑張っていても、子どもはほめてはくれないかもしれませんが「お手伝いするー」とすり寄ってきたり、サプライズのおかずを作ってくれたり。そんなちょっとした成長で、家族のために頑張るママの姿をキラリと映して励ましてくれているんだと思うのです。だからこそ、舞台となるキッチンは大好きな場所にしておきたいもの。子どもたちがいつも、ニッコリ笑顔できっちんをのぞけますように。主婦と生活社刊。