地球の持続可能性を高めるために、企業はいまサステナブル素材を求めている。Spiber(スパイバー)が開発に成功した人工合成クモ糸繊維は、そのブレークスルーとなる可能性を秘めていた。クモの糸は高い機能性を有するだけでなく、タンパク質が主成分なので枯渇資源を消費する必要もない。米軍や大手化学メーカーすら頓挫した基盤技術を確立した時は、素材革命を起こす夢の繊維の誕生だと期待された。だが、実用化の目前で幾多の難題に直面し、挑戦が暗礁に乗り上げた時期もある。同社の創業者である関山和秀氏は、環境問題やエネルギー問題など地球規模の課題解決に貢献するイノベーションをいかに実現し、ユニコーン企業に成長させたのか。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年1月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。