娘を見るたび、まぶたに浮かぶ彼の姿。ある日、本当に彼を目にするとは――!
乗馬中にぶつかった男性が顔を上げた瞬間、メリッサは息をのんだ。シルバーグレーの瞳。傲慢そうな顎。間違いない。ローレンスだわ。この20カ月、かたときも頭を離れなかった男性――ファーストネームしか知らなかった娘の父親が、目の前にいる。「メリッサじゃないか! その子はいったい──」「ローレンス……」腕のなかの娘を強く抱きしめ、一歩後ずさる。都会に憧れる世間知らずの男爵令嬢が、使用人の姿で訪れたロンドンで素性の知れない男と恋におち、身ごもった。家名に泥を塗ったと激怒する両親の反対を押し切って、メリッサは娘を産み育ててきた――。「とても美しい子だね。君の夫は幸せ者だ」「夫はいないわ」その言葉に“ウィンチカム伯爵”は顔色を変えた。
■メリッサが自分の子を産み育ててきたことに責任を感じてローレンスは、彼女に求婚。彼が裕福な伯爵と知って大喜びする両親をよそに、メリッサは哀しみに沈みます。彼が欲しいのは私ではなく娘だけだから……。リージェンシーの切ないシークレットベビー物語!