ピグマリオン効果とは、期待をかけられた人が期待に応えて成果を上げる傾向を説明するものだが、本書で論じられている「失敗誘導症候群」はその逆である。つまり「できない」と見なされた従業員は、上司から期待されていないがために業績が低迷する、というのだ。この状況はなぜ生まれてしまうのか、筆者たちはその原因を明らかにし、その代償を説明したうえでこの症状を克服するための5つの要素を論じている。1998年の論文だが、上司と部下の関係がもたらす問題はいまも変わらない。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2021年12月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。