花嫁の条件を列挙する子爵にすべてを忘れさせた、純真な村娘。
危ない! 村娘のソフィーは馬車に轢かれそうな男の子をかばって、馬とぶつかった勢いで溝に転げ落ち、泥まみれになってしまった。どうにか立ち上がると、馬車から降りてきた男性を鋭くにらんだ。社交界の寵児ヘルフォード子爵は、あわや轢きかけた村娘に駆け寄った。娘はみすぼらしくかなり不格好な灰色のドレスを着ている。ところがどうだ。美しい瞳、ほんのり赤く染まった頬が、至極魅力的だ!愛や恋など決して信じないはずの子爵の心が、にわかにざわめいた。だがそれは、彼と婚約間近の伯爵令嬢が子爵邸に到着する直前のこと……。
■兄の死により爵位を継いだ子爵は、花嫁探しの真っ最中。この世に愛など存在しないと考える彼は、家柄がよく財産があり、貞淑な美人なら誰でもかまわないと、さる伯爵令嬢に的を絞っていました。それなのに花嫁の条件にまるで合わないソフィーに興味が湧き……。