【内容紹介・目次・著者略歴】
社会倫理の根拠を探ねる意味において、まず善悪の価値基準のもとである宗教的立場を被造物としての自然、社会理念とそれらが人間の罪のメカニズムと絡みあっている歴史的現実の中に問うてみたい。
【目次】
序
第一章 聖書における倫理とその意味
第一節 倫理のひろがり
(イ) 労働の倫理
(ロ) 自然と倫理
(ハ) 文化の倫理
第二節 倫理のありかた
(イ) 家族の倫理
(ロ) 「ピレモンへの手紙」に示された倫理
(ハ) 終末信仰と倫理
第三節 倫理のしくみ
(イ) 摂理の構造
(ロ) アウグスチヌスの「神の国」における社会倫理について
(ハ) 代表者思想と契約的構造──聖書における社会的実践の根拠
第二章 社会倫理の概念
第一節 個人倫理と社会倫理
(イ) 序論
(ロ) 利己と利他の性情からみた個人と集団の関係
(ハ) 個人倫理と社会倫理
第二節 ジンメルの「社会学」における集団の量的規定と集団倫理について
第三章 歴史における社会倫理とその思想
第一節 カントと十九世紀の社会倫理思想──倫理の方法的自覚
第二節 プロテスタントの「哲学嫌い」
第三節 儒学・蘭学の伝統と近代化の問題
(イ) 文化的一元論から二元論への移行
(ロ) 儒教における二元論論争
(ハ) 二元論化の確立としての蘭学
(ニ) 二元論から一元論への運動としてのキリスト教と哲学の要請
第四節 近代化の特質についての一考察
第五節 現代の社会と個人と教会
山中 良知
1916~1977年。キリスト教学者。関西学院大学教授、理事を歴任。京都帝国大学文学部哲学科卒業。文学博士(関西学院大学)。
著書に、『理性と信仰』『宗教と社会倫理』など、訳書に、K・スキルダー『キリストと文化』などがある。