【内容紹介・目次・著者略歴】
1917~91年まで社会主義国家として存在したソビエト連邦の憲法がどのような理念ででき、どのような特質を持っていたのかを解明する。
【目次】
序論 対象と問題状況
一 対象とその問題性格 二 近代憲法からソビエト憲法へ 三 過渡期憲法から法の死滅へ 四 ソビエト憲法の成立
第一章 ソビエト的憲法概念の展開
第一節 ソビエト憲法の形態的特質
一 ラッサールの憲法論 二 「実質的意味における憲法」論 三 「憲法=記録」説 四 軟性憲法論含 五 憲法改正論 六 憲法違反論争 七 ソビエト憲法と最高法規性 八 「憲法=行動計画」説
第二節 ソビエト憲法の内容的特質
一 憲法と基本法・国家法 二 「憲法=権力への組織的参加」説 三 階級憲法論 四 集団主義憲法論
第二章 ソビエト憲法と基本権概念
第一節 過渡期国家と基本権
一 過渡期基本権の論理構造 二 レイスネルの基本権不要論 三 階級的権利論
第二節 一九一八年憲法の権利規定
一 「勤労・被搾取人民の権利宜言」と憲法総則の成立過程 二 ソビエト憲法における基本権体系 三 基本権体系のその後の展開
第三節 基本権をめぐる諸理論
一 人権から勤労者の権利へ 二 主観的権利から国家の機能へ 三 自由権の「現実的保障」論 四 社会権批判論
第四節 自由権論の展開
一 良心の自由 二 言論の自由 三 結社の自由・集会の自由
第三章 ソビエト国家機構の構成原理
第一節 主権概念を中心として
一 主権概念の死滅 二 権力主体を示す諸概念 三 国号について
第二節 ソビエト的代表概念
一 利益代表概念 二 階級代表概念(1)制限選挙論 三 階級代表概念(2)不平等選挙論 四 直接民主主義への接近と後退(1)命令委任その他 五 直接民主主義への接近と後退(2)選挙概念 六 集団代表概念
第三節 ソビエト的連邦概念
一 ソビエト的連邦概念の二重性 二 中央集権か地方分権か 三 「諸ソビエトの連邦」論 四 「社会経済団体の連邦」論 五 「民族原則に基づく連邦」論
第四節 権力分立論批判の展開
一 権力分立論批判の諸相 二 機能配分論と「権力代行」論 三 立法権と行政権の融合 四 代議体と合議制原則の形骸化 五 コミューン型か公安委員会型か
終章 プロレタリア独裁とソビエト憲法
一 「司法権の独立」論批判 二 司法の機能と独裁の論理 三 プロレタリア独裁とソビエト憲法
森下 敏男
法学者。神戸大学教授。法学博士(東京大学)。専門は、ロシアの法。
著書に、『ポスト社会主義社会における私的所有の復活』『現代ロシア憲法体制の展開』『社会主義と婚姻形態』『ソビエト憲法理論の研究』などがある。