【内容紹介・目次・著者略歴】
人生論や哲学のみならず、山岳文学、画集、小説、翻訳など多岐にわたるジャンルで活躍した著者の、エッセイ集。
この著者の心には科学者と芸術家が同居していて「もの」を見たり考えたりするとき、科学者と芸術家は一つになる。不思議な才能だ。北天の夜空に煌めく琴座のヴェガも、さまざまな四季の事象も、動物も植物も、山も街も--あらゆる有形無形の対象が著者の麗妙な筆にかかると、中世の錬金術師のように、たちまち美しい芸術作品に仕上げられてしまう。
【目次】
午前の光
黄金の蝙蝠
写真
二つの器
速達
帝塚山の朝
午前の光
夜の九時
交響曲第三番
三本の管
稽古
夏と音楽
美術品
西風ドゴーダ
幼稚園
古い日の姿
訪問
フランス人の匂い
毛糸
電話の声
食べる姿
弁当
頓死
街
鉄骨
鳥はなぜ歌う
自然
歩けない道
放送原稿
額
泥人形
名刺
湖畔の宿
変身譚
西風の歌
西風の歌
夜の扉
新しい駅
街の鳩
私の娘
小刀
母の日記
半切
高級車
包装
波止場
春を摘む
カタログ
高地牧場
色紙
またたび
人造湖
山の泉
靴
粘土の手
鼠の足音
旧友
蝶番
運搬
目覚めよと
修理と治療
小遣帳
花婿修行
交番
設計図
見学厳禁
残雪
贋夫婦
断末魔
教師
贈物
外国語
火傷と指紋
長靴
顔
蒐集
拾いもの
朗読
舞台
短脚車
暗闇
泥棒
レモンの葉
文房具
休憩
季節の散歩道
啓蟄
花だより
街の緑
原っぱ
飯桐
年ごとの緑
田植
雨の街
郭公の挨拶
六月
蚊
夏雲
線香花火
散歩道
夕暮の川
草原の朝
磯の昼
街の日暮
貝の箱
秋口
初秋の日記
赤い実
欅
晩秋の訪問
初冬の蒲公英
転調
曇った元日
火鉢
外套
冬暖かき海辺
後記
串田 孫一
1915~2005年。詩人、哲学者、随筆家。東京帝国大学文学部哲学科卒。上智大学、東京外国語大学で教鞭を執る。著作は、詩集のみならず、人生論、哲学書、画集、小説、翻訳など多岐にわたっている。創文社の山岳雑誌『アルプ』の責任編集者も務めた。
著作には、『漂泊』『音楽帖 詩集』『南京玉の指輪『光と翳の領域 随想集』『文房具』『自然の断章』などがあり、100冊をゆうに超える。主著は、詩集『羊飼の時計』、随筆集『山のパンセ』など。