記憶喪失の乙女と、孤独な伯爵。傷ついた魂が出会ったとき……。
1年前の夜、ルースは婚約者と共に暴漢に襲われ、記憶を失った。気づいたときには婚約者は消えており、今も捜し続けている。彼がイタリアの名家バグネリ家の一員だという情報を頼りにベネチアを訪れた彼女は、嵐の夜、その大邸宅の前に辿り着いた。雨に打たれずぶ濡れになっていた彼女を迎えたのは、精悍な顔つきにどこか陰を感じる、ピエトロ・バグネリ伯爵。彼は婚約者が見つかるまで邸宅に滞在することを勧めてくれ、ルースはしばらくピエトロの手伝いをすることになった。白紙のままの彼女の記憶に、ピエトロとの日々が描かれていく――彼を愛し始めた頃、後ろめたそうな顔をした婚約者が戻ってきた。
■ハーレクイン・イマージュの過去の珠玉作を、選りすぐりでお贈りする《至福の名作選》。イタリアを舞台にした、伯爵と記憶喪失の乙女のロマンスです。