【内容紹介・目次・著者略歴】
中・近世ドイツ統治構造史の前提となる枠組と理論的見通しを論じた書である。第一篇では、皇帝の支配権域から領邦国家分立体制的組織へと展開していく神聖ローマ帝国に関しての重要論点たる、皇帝権-教皇権の二元的関係と諸侯、世界システム論、官僚・将校と中間権力を媒介とする絶対主義的領邦国家の統治構造、君主立法と在地法との関連、国家機能論が論究され、進むべき今後の研究方向が示される。第二編では、それらの視点を補強する八編の書評論文を収載する。
【目次より】
序
第一篇 論考
第一章 教会権力と国家権力 神聖ローマ帝国
序
第一節 皇帝権と「オットー諸帝 ザーリアー朝帝国教会体制」
第二節 グレゴリウス改革とヴォルムス協約
第三節 二元主義体制の展開過程
結 宗教改革と領邦国家体制
第二章 ヨーロッパ旧体制下における領邦国家体制
序
第一節 旧帝国の構成要素、世界システム及びヨーロッパ諸国家体系におけるドイツ
第二節 領邦国家体制(一) 領邦君主
第三節 領邦国家体制(二) 貴族と農民
第三章 絶対主義時代の法形態と立法目的 多様性と秩序化、全体化と個人化
序
第一節 重層的な権力構造と法生活の学問化
第二節 法形態 多様性と秩序化
第三節 立法目的 全体化と個人化
結
問題と考察 絶対主義時代の法形態と立法目的
第四章 近世ドイツ領邦絶対主義をめぐる諸問題 拙著『近世ドイツ絶対主義の構造』(創文社、一九九四年)への書評批判に答えて
序
第一節 拙著の概略
第二節 近世ドイツ領邦絶対主義をめぐる諸問題
結
第五章 新たな近世国制史の構築に向けて
序
第一節 「社会史」の台頭
第二節 「近代国民国家」の動揺
第三節 「近世ドイツ国制史」の諸テーマ
結
第二篇 書評
第一章 西川洋一著「一三世紀の君主立法権概念に関するノート 教皇権を素材として」(一)~(三・完)
第二章 服部良久著『ドイツ中世の領邦と貴族』
第三章 池谷文夫著『ドイツ中世後期の政治と政治思想 大空位時代から『金印勅害』の制定まで』
第四章 佐久間弘展著『若者職人の社会と文化 一四~一七世紀ドイツ』
第五章 皆川卓著『等族制国家から国家連合へ 近世ドイツ国家の設計図「シュヴァーベン同盟」』
第六章 山本文彦著『近世ドイツ国制史研究 皇帝・帝国クライス・諸侯』
第七章 渋谷聡著『近世ドイツ帝国国制史研究 等族制集会と帝国クライス』
第八章 山崎彰著『ドイツ近世的権力と土地貴族』
あとがき
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神寶 秀夫
1948年生まれ。西洋史学者。九州大学名誉教授。専門は、ドイツ史。
東北大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学。文学博士。
著書、『近世ドイツ絶対主義の構造』『中・近世ドイツ都市の統治構造と変質 』『中・近世ドイツ統治構造史論』などがある。