【内容紹介・目次・著者略歴】
人間の尊厳、歴史の進歩の肯定―ルネサンス思想の基盤をなすこの二つの近代的精神は、中世キリスト教世界の中で徐々に形成された。本書は十二・十三世紀の三人の宗教思想家、フランシスコ・ヨアキム・ボナヴェントゥラに焦点を当て、彼らの思想がフランシスコ会の設立、発展を通じて如何に融合し、近代的精神の宗教的母型を作り出したかを探る、著者四十年の研究の集大成。
【目次より】
まえがき
序論
I 中世における人間観の発展
II 中世における歴史観の発展
第一章 フランシスコ会の創立をめぐって
第二章 アシジのフランシスコと宗教運動
第三章 アシジのフランシスコとカタリ派
第四章 フランシスコ会の教団組織について
第五章 フランシスコ会における党派対立の原因について
第六章 ボナヴェントゥラとアリストテレス哲学の関係
第一節 若き日のボナヴェントゥラとアリストテレス哲学の関係
第二節 晩年のボナヴェントゥラとアリストテレス哲学の関係
第七章 ボナヴェントゥラのフランシスコ伝について
第八章 ヨアキムの歴史神学とスコラ学者
第九章 ボナヴェントゥラの歴史神学とフィオレのヨアキム
第十章 ボナヴェントゥラの歴史神学におけるキリストの位置
あとがき
初出一覧
註(略語一覧)
文献表
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坂口 昂吉
1931~ 2021年。西洋史学者。慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。博士(史学)。
著書に、『中世キリスト教文化紀行 ヨーロッパ文化の源流をもとめて』『中世の人間観と歴史 フランシスコ・ヨアキム・ボナヴェントゥラ』『聖ベネディクトゥス 危機に立つ教師』など、
訳書に、K.ブールダッハ『宗教改革・ルネサンス・人文主義』『アウグスティヌス著作集 第8巻 ドナティスト駁論集』(共訳)M.パコー『テオクラシー 中世の教会と権力』(共訳)ヴェルナー・デットロッフ『中世ヨーロッパ神学』などがある。